【特別企画~軌跡~】湘南校舎男子柔道部

~卒業される卒業生の門出を祝し、特別企画『軌跡』として各部を追った記者が卒業までの軌跡を辿ります~

受け継がれる想い
 




昨年度、6月の全日本学生優勝大会(無差別団体)、10月の全日本学生体重別団体優勝大会の学生団体戦2冠を達成した湘南校舎男子柔道部。

香川大吾(体4)を主将に据えたチームが今年度目標に掲げたのは、「2年連続学生団体戦2冠」だ。上水研一朗監督(体育学部教授)は、「今年度の選手たちは、大きい舞台で臆せず力を発揮してきたウルフ・アロン選手(2017年度卒・了寺学園職員)や影浦心選手(17年度卒・日本中央競馬会)など、最上級生の意地を嫌というほど見てきたと思う。だからこそ今年の2冠にかける思いは階級関係なくとても強い」と語る。
 
5月の東京学生優勝大会では後藤龍真(体2)や村田大祐(体4)らが盤石の試合運びで5年連続27回目の優勝を果たし、無差別団体へ弾みをつけた。
 
3連覇のかかる6月2324日の無差別団体では、後藤が準決勝まで3試合連続勝利。

▲「技のキレが持ち味」という後藤

ルーキーの松村颯祐(体1)ものびのびと試合をし、チームは着実に勝ち進んだ。無失点で迎えた筑波大との決勝は、壮絶なものとなった。先鋒、次鋒、五将戦を引き分け、中堅戦では太田彪雅(体3)が大外刈で一本を奪う。三将、副将戦を引き分け、迎えた大将戦。筑波大主将に一本を奪われ、勝利の行方は代表戦へ。
 
一気に空気を持っていった筑波大サイド。東海大の代表に選ばれた太田は、チーム全員に背中を押され、畳に上がる。「筑波大の勢いは感じていたが、自分のやるべきことをやるだけと、とにかく集中した。プレッシャーのかかる場面で結果を出すことが、本当の意味でのエースだと思った」。その言葉通り、太田は払腰で一本を決め、優勝を決めた。

▲スタンドに向け拳を突き上げる太田

緊張の糸がほどけ、笑顔や涙を流す選手の姿も。上水監督は、「選手たちがやってきたことを信じて試合に臨んだ結果」と穏やかに語る。主将の香川も、「ホッとした」と安どの表情を見せるとともに、「目標である2年連続学生団体戦2冠達成に向け、もう一度気を引き締めてやっていく」と、先を見据えた。後藤は、「来年は(太田)彪雅先輩を出さずに自分で勝利を決めたい」と決意を新たにしていた。

▲試合後の写真撮影では、全員が喜びを爆発
 



9月のバクー世界選手権の日本代表で60㌔級3位に入った永山竜樹(体4)、男女混合団体戦代表として日本チームの連覇に貢献した73㌔級の立川新(体3)、9月2930日の全日本学生体重別選手権大会で優勝した太田など、個人戦で着々と力をつけてきた選手たち。体重別団体は、初戦の国際武道戦で全員が一本を決めて幕を開けた。
 
しかし3回戦、準々決勝で次々と選手が負傷してしまい、苦しい布陣で筑波大との準決勝へ。

▲筑波大戦直前の選手たち。緊張感が漂う。

無差別団体の決勝で代表戦まで戦った相手との再戦は、厳しいジャッジもあり、次鋒、中堅、三将戦で得点を献上。このままでは終われない。副将戦で太田が内股で相手を沈め、1点を奪い返した。
 
しかし反撃実らず、ベスト4で畳を去ることとなった。
 
「勝つことは当たり前ではないんですよ」。上水監督は言う。「絶対的な王者として、逆風でも勝ちきる力が必要。今日は巻き返せなかった。今日の悔しい経験が原動力になる。また1からですよ」。肩を落とす選手たちにやさしく語りかけた。
 
酸いも甘いも味わった一年。先輩の姿は後輩へ色濃く引き継がれる。2冠の達成ができなかった悔しさを忘れないために、新チームは改革に乗り出した。軽量級にも主将を設けるなど体制を一新したのだ。無差別団体は重量級が主に出場するが、軽量級にも主将職を設けることでチームの一体感を生み、「どの大会も全員で戦う」意識につなげるのだ。重量級主将の太田、軽量級主将の立川を中心に、もう一度学生団体戦2冠を目指す。

▲軽量級主将の立川は国際大会の経験も豊富
 
4月6、7日には福岡国際センターにおいて全日本選抜体重別選手権大会が行われる。各階級のトップクラス8名が栄冠を目指すこの大会には、多くの在学生、卒業生が出場する。
60㌔級では永山と卒業生である藤直寿選手(15年度卒・パーク24)との激しい五輪代表レースに注目だ。

▲11月のグランドスラム大阪で優勝した永山

73㌔級の立川は、2人のオリンピアンが出場するこの試合で代表争いに割って入ることができるか。90㌔級には、昨秋から破竹の勢いで勝ち上がり出場権を得た深山将剛(体2)や、大型ルーキーの村尾三四郎選手(桐蔭学園高3年)が出場する。100㌔級には全日本学生体重別選手権大会覇者の伊藤好信(体3)が初戦でウルフ・アロン選手に挑む。100㌔超級に出場する太田の初戦の相手は、2月のグランドスラム・デュッセルドルフで5位となった小川雄勢選手(明治大4年)だ。在学生、卒業生の熱い戦いに注目だ。
 
 
 
 
【あとがき】
ベスト4となった今秋の体重別団体の試合後のことでした。優勝を逃し、選手たちの顔は悲しみに満ちていました。
 
ある4年生が記者たちのもとへ来て言いました。
「不甲斐ない試合を見せてしまってすみません」
「来年、絶対に後輩たちを勝たせるので、また応援お願いします」
 
その選手自身も試合で満身創痍の状態でしたが、言葉に重みとはっきりとした決意を感じました。受け継がれゆく東海大のプライド、想いを感じ、今回のブログのタイトルとさせていただきました。
 
練習後や試合後など疲れているにもかかわらず快く取材に応じてくださり、会場でも「こんにちは」「今日もよろしくね!」と声をかけてくださる4年生の皆さんに、感謝の念が絶えません。今後のさらなるご活躍をお祈りしています。
(記事、写真=南雲)

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